一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
愛へ

隣では相変わらずあなたのパパ、うるさいよ。

きっとこの手紙を読む十八年後も同じ。

たまにうざいかもしれない暁ちゃんの明るさはなくなると寂しいから、このままでいいよね。

妊娠がわかったとき、つわりで苦しいとき、その優しさと明るさに何度も私は救われました。

きっと愛も暁ちゃんみたいに優しくて明るい子になるんだろうな。

まるで周りを照らす朝日のようにあったかくてそばにいて安心できる、そんな子になるんだろうね。

愛って名前にはたくさんの意味があるの。

みんなから愛されますように、そしてみんなを愛せますように。

愛は生まれる前からたくさんの人に愛されてる。

私と暁ちゃんはもちろん、私のお姉ちゃんのさっちゃん、さっちゃんの旦那さんの大地君、それからりっちゃんも真も優もみんな愛のこと大好きだよ。

手紙を書こうなんて言い出したとき、私は本当は心の中で暁ちゃんやるう!なんて思ってたことは内緒。

あなたのパパ、なかなかロマンチストでしょ?

十八歳、高校を卒業する年だね。

どんな制服を着てるのかな?

どんな進路を進んでるのかな?

どんな人に恋をしてるのかな?

私と暁ちゃんが出会ったときみたいにウキウキキラキラした恋をしてるんだろうな。

あんまりアドバイスはできないかもしれないけど、恋バナなんて一緒にできたら嬉しいな!

封筒の中にピンキーリングを入れておきます。

このリングはね、暁ちゃんと私が付き合って初めて行ったデートのときお揃いで買ったもの。

暁ちゃんはピンキーリングなのに薬指にはめようとしたんだから、笑っちゃった。

愛にも薬指に指輪をはめてくれる人、いつか現れるんだろうな。

これからの愛の成長を1番近くで見られること、本当に嬉しいな。

愛、私をお母さんにしてくれてありがとう。

これからもよろしくね。

愛が大好きです。


あなたのママ、神崎唯より
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