一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
memory:27
午前10時。

あたしは駅前の時計台の前のベンチに座ってる。

そう、結局断れなくてミカリンのデートにお邪魔虫することになっちゃった。

ミカリンはというと、あたしの隣で緊張したようにあたりをキョロキョロ見回してる。

「あっ…」

きたの!?

ミカリンの、好きな人!?

「相沢さーん!」

駆け寄ってきたのは想像してた人物とは全く違ってた。

なんとなくだけどミカリンの好きになる人ってその、なんていうか真面目?というか…まあ、目の前にいる金髪ではないような、そんな人をイメージしてたから。

前にタイプは某少女漫画のさわやか王道ヒーローを挙げてたし。

ちなみにそのヒーローは浅丘君に似てるみたい。

「遅いわ、五分遅刻よ。」

「すみません!昨日楽しみで眠れませんでしたっ!」

ビシッと敬礼のポーズをとる、この人。

なんか、何かに似てる…

なんだろ?

「こちらは同じクラスの一ノ瀬愛。あ、こちら同じ塾で…」
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