一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
ほら、ちゃんと言え!

「あら、次私たち試合よ。ほら、ぼけっとしてないで行くわよ。」

ど、どうしよう!!!

ちゃんと言わなきゃなのに!

浅丘君はあたしと付き合ってます!って!!



「顔暗すぎ、なんなの。」

玲さん…

こんな時までそんな冷たいこと言うのやめてよ…

あたしの心は今、ボルテージゼロなんだから…

「愛姉!俺軽音部に入ることにしたんだ!」

「そっか…」

「かっこいいだろ!」

「そっか…」

「これ律兄がバーでバンドしてる人から借りて来てくれたんだ!」

「そっか…」

「…なんだよ、つまんね。」

直君のご機嫌な声も耳から耳へと抜けて行く。

今日あの後何度もミカリンに本当のことを言おうと試みた。

だけどタイミングが悪いのはあたしの天性の才能なのか、いつも邪魔が入って結局言えないまま。

「直、うるさいからやめて。」
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