一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
浅丘君が小さな声で言った。

「したくないとか、そういうんじゃないんだ。…大事にしたいとか、それはもちろん思ってるけど、それも違うっていうか、いや、違わないんだけど…」

浅丘君があたしを自分の胸に引き寄せる。

「今はこうやって、一緒に寝るだけで俺、ドキドキしすぎて、この先なんてどうなっちゃうかわかんなくて、
だから、今日は…このまま抱きしめて寝るだけで限界なんだ。これが俺の、今日の限界…」

そんな風に言う浅丘君がすごくかわいくて、なんていうんだろう、愛おしくて。

「ヘタレでごめん…次はちゃんと、頑張るから。って、愛が嫌だったらそれはないけど…」

「嫌じゃないよ…!」


だけど今は、これでいい。

こうやって二人で眠るだけで、あたしたちにはドキドキが限界。

ゆっくり進んでいけばいいよね。

「愛、大好き…」

「あたしも、浅丘君が大好きです…」

浅丘君のドキドキを聴きながら、あたしは眠りに落ちていった。
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