一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
memory:4
まただ。

携帯を開くと知らない番号。

このところずっとだ。

出ても無言電話なんだもん。

これが噂のイタズラ電話ってやつなのかな。

まさか自分にかかってくるなんて思ってもみなかった。

「愛、今度の土曜日暇?」

「んー、土曜日は部活で練習試合があるの。」

夏の大会前の練習試合は一つ一つが大切。

新しく入って来てくれた部員六人プラスマネージャー一人。

「俺は兄貴からレギュラーの座を奪うつもりなんで、よろしく!」

新入生から一言でそんな爆弾発言をしたのは浅丘君の弟、涼太君。

確かに涼太君は浅丘君に負けず劣らずのプレーヤーだ。

丁寧なパスと的確なシュート技術、周りをよく見てプレーする浅丘君とは反対に思い切ったプレーをするのが涼太君。

だけどそのダイナミックさは他のみんなからも一目置かれている。

「愛先輩!こっちに来てください!」

新しくマネージャーとして入部してくれたのはバスケ経験者の秋山咲耶ちゃん。
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