一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season

ほのちゃんと同じく怪我で選手を断念した咲耶ちゃんはショートカットが似合う活発な女の子だ。

あたしなんてもう二年もマネージャーの仕事してるのにそれをたった二週間足らずで完璧にこなしちゃうくらい。

「どうしたの？」

「これ！愛先輩のですよね？」

咲耶ちゃんが手にしていたのはピンク色のタオル。

だけどそれにはべったりと赤いペンキが塗りつけられていた。

「ヒドイ…誰がこんなこと…あたし許せません！」

愛奈ちゃんがタオルを手にして言う。

「平気だよ、洗えば落ちるし、どこかでペンキ塗っててそこに飛んで行っちゃったのかもしれないし…」

「あたし、…同じことされたことあります。中学のとき持ち物がなくなったり、タオルやジャージにペンキ塗られたり…愛先輩、今無言電話とかされてませんか？」

愛奈ちゃんがあたしを見る。

「きっとあたしと同じ人が犯人なら、聡太のことが好きなやつですよ！顔はわかりませんけど、確か名前は…」