一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
「愛姉、これ!餞別の品!」

直君がくれたのはおしゃれな雑貨屋さんで売っている可愛いアイスの形をしたスポンジ。

「真兄と暮らすの、大変だろうけど頑張ってね。」

家に真兄がいた頃の散らかりっぷりを思い出して少しげんなりするけど、きっとなんとかなるよね。

一応前に行った時、ゴミ屋敷にはなっていなかったし。

引越しまであと1日、今日は最後のこの家で過ごす日だ。

優兄とりっちゃんは大学で補講があるとかでいないけど直君が最後の荷造りを手伝ってくれることになった。

「はー、本当に出て行っちゃうのかあ、さみしいな…」

素直な直君は本当に可愛い。

「直君、来たばかりの頃はすごいツンツンしてたのにね、丸くなったね〜!」

ちょっと意地悪してみると、直君は恥ずかしそうに俯いた。

「あ、あの時は!…反抗期だったの!」

うひひひ、かわいい〜〜!

って、やば!

りっちゃんみたいになってきてるよ、あたし!

「けど、あの時さ、愛姉が俺のこと公園から連れ戻してくれたじゃん?あれがなかったら俺、今もずっとこの家に馴染めてなかったかも。」
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