一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
「夏休み!行きたい!俺まだいっぱい行ってみたいところあるんだ!」

直君が目をキラキラさせて言う。

コタツに入ってウダウダしてるとあっという間にお昼前。

「愛姉、お昼ご飯は食べていくでしょ?俺が作る!優兄、手伝って!」

「うん、じゃあ俺たちちょっと買い物行ってくるね。」

二人が部屋を出ていくと、りっちゃんと二人。

さっきまでうるさく話してたのに、急に静かになるりっちゃん。

「なあ、愛。俺は…俺はいい兄だったかな?」

えっ…?

「俺は愛の、良いお兄ちゃんだったかな?」

りっちゃん…

「俺さ、すごい愛のことになったら心配してしまうんだ。だからうざいところもあったと思う。彼氏とのこととか、嫌なことも言っちゃったよな。ごめんな。」

さっきまでのりっちゃんとは変わって、真剣で、そして少し不安げな子供みたいな目をしたりっちゃん。

そういえば前に聞いたことがある。

りっちゃんがあたしのことを過剰に心配するのは昔、あたしが誘拐されそうになったことに責任を感じて、自分のせいだって思ってるからだって。
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