一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
「愛!」

暗がりの廊下の向こうから走ってきたのは浅丘君。

「大丈夫?倒れたって聞いて…」

「大丈夫じゃないから、明日の試合は休ませてもらうから。」

玲め!

勝手なこと言って!

「浅丘君、あたし平気だから、試合も行くから!」

「え、でも…」

「ぜーんぜんもう元気!」

玲はまだ不満そうな顔だけど、浅丘君に心配かけたくないし、試合も行きたいもん!

「体調悪かったらすぐ言ってな?俺、愛には無理させたくないから。」

マネージャーなのに選手から心配されちゃった。

「そんな軽く言っちゃって。あんたなんでこいつが倒れたか知ってんの?」

れ、玲さん?

「愛はあんたのせいで誰がから嫌がらせを受けてる。愛の携帯に毎日何件も無言電話、うちのポストに気持ち悪い手紙、今回だってこれのせいだろ?」

玲が浅丘君に突き出したのは真っ赤なペンキがべったりとついたタオル。

浅丘君は驚いたように目を見開く。
< 43 / 408 >

この作品をシェア

pagetop