一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
「あたしなんかが浅丘君の彼女でいいのかな…」

「へ?」

浅丘君が顔を上げた。

ど、どうしよう!

ついぽろっと心の中で考えていたことが出ちゃった…

「…はあ…」

ため息!?

怒ってる?

浅丘君、顔がどんどん険しくなってる!

「怒ってる、の?」

「怒ってるよ、…愛にじゃなくて、自分に。」

自分に?

なんで!?

「俺、昔からよく帆華に言われてたんだ、女心がわかってないって。確かに俺は、女の子の気持ちってよくわからない…けど、愛のこと俺なりに大切にしようって思ってたから…」

いつの間にか、浅丘君の腕の中にいた。

し、心臓が!!

あたし、あたし家で!しかも自分の部屋でこんなこと!

「俺は愛が好きなのに、その思いをちゃんと伝えられてなかった自分にムカついてる。」

好き、その言葉だけでもう何もいらないくらいに、羽が生えて飛んでいきそうなくらいに嬉しくて。
< 48 / 408 >

この作品をシェア

pagetop