一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
そして入学式が終わり、新入生が体育館から出てくると同時に、少しずつ在校生が登校してきはじめた。

もうそんな時間!?

だったら早く写真撮らなくちゃ、あたしもこのあと始業式に行かなくちゃいけないんだから…

あっ、そうだ!

このカメラ、優兄に渡せばいいんだ!

優兄なら使い方もわかるだろうし、このあとの新入生オリエンテーションにも保護者として出席するって言ってたもん!

えーっと、どこにいるんだろ。

「ねえねえ、あの人めっちゃかっこよくない?」

「あの超絶美少年のお父さん?にしては若いよね?お兄さんかな?」

「やっぱり美形の兄弟は二人ともすごいんだね!」

はい、居場所わかりました。

「優兄!直君!」

あたしが駆け寄ると、周りの女の子たちがジロッとあたしを見る。

そ、そんなに睨まなくても…

一応あたし、先輩だよ!?

「あれ、愛、どうしたの?」

あたしは無言で優兄にカメラを渡した。
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