一ノ瀬さん家の家庭事情。LAST season
その言葉を聞いた葉ちゃんは頷き、そして浅丘君に向かって笑顔を見せた。

…大丈夫だよね。

後半スタートの合図が鳴り、葉ちゃんが素早くボールを奪い取った。

そのまますごい勢いでドリブルして久住君までボールを運んだ。

そして久住君がまたまた綺麗にシュート。

「葉ちゃーん!」

「久住君!」

あたしたちの声援も、周りのボルテージも一気に上がる。

前半の苦しそうな葉ちゃんとは別人みたいに楽しそうにコートを走り回る姿はいつも通りの葉ちゃんだ。

「聡太!ナイシュー!」

後半戦残り数十秒、浅丘君のスリーポイントが決まり洲崎学園に追いついた。

あと少し、あと少しで勝てる!

「葉ちゃん!」

最後はやっぱり、葉ちゃんだ。

この試合はきっと彼にとって特別。

涼太君のパスが葉ちゃんへ。

そのまま葉ちゃんはボールを投げた。

お願い…!!

ボールはまるで当たり前みたいにゴールに吸い込まれていって、リングにあたることなく地面に落ちた。
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