恋愛最前線
洋子 ユミコ組は順調に 外の準備をしていた…

ヒロコが 一瞬 何かをしにキッチンを離れた。

惣市は、ソファから飛び起きると、キッチンへ向かう。


「ちょっと…」
彼の態度に 彼女は、
何も言わなかった。

ヒロコが戻って来たら 気まずい。

…というか。

彼女は、絶対に知られたくないだろう。


惣市は、彼女の腕を掴むと

「1分だけ来て」

誰にも気付かれないように。

キッチンから一番遠い部屋へ入る。


中に入ると、鍵をした。
ブラインドは降りていた。

2人はベッドに座る。

「昨日のこと覚えてる?」

単刀直入に話す。

智身は、
「うん…覚えてるょ…」
「遊び?」

彼の質問に なかなか 答えない彼女。

「なんかいってよ。別に遊びでも、俺傷つかねーし」

うそだ。


彼女を初めて見た 一昨年から、

気にしていたのだから…。


彼の中で 単なる憧れだった。

6つも上で…
自分はまだ中学生。


相手は大学生。


手が届くわけなどなかった。


毎年 夏にここにくるようになったのは、彼女に会えるからだ。


ここでの約3週間…

彼に取って、とても大切な時間だった。


だから、夕べの出来事が…

冗談だとしたら、悲しいし。

でも、それでも、仕方ないと思える自分でいなければいけない。


「遊びやないよ…」

智身の意外な答えに 惣市は…逆に 言葉が見つからない。


「そっちこそどうなん?」

「遊びじゃないよ…好きだったから…」


「笑。過去形やね」

智身は笑う。

「違う…。今も好きだよ」


「秘密にしてね。まだ…」

「東京戻っても、会ってくれる?」

彼女は、うん と頷いた。

2人は そろそろ 戻らないと と

キッチンへ戻った。
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