恋愛最前線
葉山での日々
葉山での毎日は、あっとゆうまに、過ぎる。

昼間は、別行動。


夜も皆が寝静まった頃から、2人は時間を作った。


「そっちは、将来つーか。大学終わった京都もどんの?」

「うん…。弟いるからね。別に戻らなくても大丈夫だとは思う」

彼女の実家は、京都で老舗の旅館だ。


確か 惣市よりも小さい弟がいた。

「女将じゃん。かっこいい」

惣市は笑う。

「大変だよ…。弟も跡とるとは思えないし。笑。私も…」

智身も首を横に振る。

「惣市くんちも。江戸川君は跡取りしないって言ってるし、大変そう」

「オッさんは俺には期待してねーから。笑」

惣市は父を オッさん と言った。

智身は 子供を 愛してない親はいないと思うよ…と。

彼に伝えたが…。

彼の心の傷は、まだ 誰にも癒せそうになかった。


「あ~。もう今年は受験だね。聖華は関係ないか」

惣市の通う、聖華学院は 小・中・高・大と私立の 全国的に有数のマンモス校だ。

惣市は小学生から聖華だから、恐らく 何ごとなければ、このまま大学までエスカレーター式に上がって行く。


「うん。あんま関係ないね。アイツ俺が何かしても、解決してくれてるから…」


惣市は…少し 寂しげな笑い方をした…。


彼の父親は、聖華学院に多額の寄付を毎年しているのだという。


ちょっとやそっとのことでは、彼は退学にはならないらしい。


「そっちも就職じゃん」

「私は教員しようかと思ってる。まだ決めてない」

9月ごろには決めたいなとはなした。

「ねぇ…。私のことずっと、そっちとかねぇとか…名前あるんだけど」

彼女は笑う。

「なんて呼べばいいかわかんねーよ」

彼の正直な気持ちだった。


今回が3年目の出会いだが、ずっと 兄の友達を 名前で呼んだことなどないから…。

「何でもいいから」

智身はビールを一口のんだ。

「ともみ」

「なに?いきなりよびすてか」

智身は笑いながら。
呼びやすいならそれでいいよと言った。


「いや。まぢでなんてよべばいいか。はずい…」
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