恋愛最前線
「兄貴は関係ネーだろう。ウルセーくずやろー」
アキヒロは、惣市の腹に思い切りパンチを入れる。

「ぐふっ…ふっ…」
「岩倉に関わるな」

「嫌だ。無理無理」
惣市は、ニヤリと笑うと、馬乗りにされた体勢からアキヒロの背中に膝げりをいれた。

アキヒロがよろめく。
即座に惣市が再度馬乗りになる。

あらゆるか所に パンチを入れる。

「ハァハァ…気が済むまで殴れよ。岩倉は諦めろ」

「だからウルセーんだよ」

波の音や海風の音で、2人のケンカの音は聞こえないらしい。

智身の声も 2人には聞こえない。


永遠に殴り合いが続く。

どれくらいたったのか…

2人の体に 大量の水が 浴びせられた。

「つ…つめてぇ」
「…なんだょ…」

2人の殴り合いが一瞬止まる。


「2人ともええかげんにしてぇなっ」

智身がホースから、思い切り水を2人にむけて 放水していた。


智身は、水を止めると 2人を リビングへ連れていく…


洋子は 部屋に戻ったらしく、リビングには誰も居なかった。

「とりあえず着替えてきて」


智身は手当ての準備をした。


「ひどい方からやね」

アキヒロの方がだいぶ酷い。


鼻血が止まらない。
「いてっっ…」

「折れとるかもね…明日病院いこうね」

惣市は隣で、アキヒロの手当てをしている智身を見ていた…


アキヒロは 無言で、気まずそうに、下を向いている…


「はい!つぎ!」

惣市も左側の顔面が切れている…

アキヒロよりはマシだが 明日にはもっと腫れるだろう…

「だいじょぶ?」
惣市は、頷く。

「先寝るわ…ありがと…」

惣市は、手当てを終えると 部屋に戻った…。


まさか もう アキヒロが強引に智身にあんなことをするとは思えなかった。

アキヒロにも、彼女へのメンツがあるだろう。

惣市は、あとで 智身が自分の部屋にきてくれると…願って…

その場を先にたった。
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