恋愛最前線
食事を終えると、洗い物を智身がしている。
「あ~やらんでいいよ。あとでやるし」

「もう終わるもん。拭いたから。しまって、場所わからない」

惣市は、食器棚をあけまくる。

「わからん…」

智身は苦笑いした。

自分の家の事なのに まるでなにもわかっていない。


9時…

「そろそろ帰ろうかな…」
「送るよ」
「だいじょぶだよ~」
「送りたいの」

惣市は、どこかに電話をしている。

数分後に 黒塗りのベンツが迎えに来た。

智身は唖然。

「行こう」

後ろの席と前の席には仕切りがある…

惣市は、マイクボタンを押すと、

「矢島~。親父に車かえたほうがいいよってゆって」
「どうしました?何かこわれてますか?」
室内のスピーカーから、運転手の矢島が答える。
「お客がひいてる。アハハハっ」

惣市は、少し 引き気味の智身の空気をさっした。

「わかりました。伝えますよ。で、どちらまで?」

「駒沢」
「わかりました。近くまでついたら、細く知らせてください」

スピーカーが切れる。

「…どんだけ、お金もちよ?」

「しらね。おれのじゃないからな」

「ひいてる?」
惣市は、智身の顔を見る。
「私、宏次朗くんとは大学からの知り合いだから…噂には聞いてたし。毎年のあの夏の葉山も…まあ…でも想像以上だわ…」

智身の家も、決して貧しくはないが…これほどまでの暮らしを普通だと思ってしている惣市には
ギャップをかんじた。

30分程で車は、智身のマンションについた。

「寄っちゃダメ?」

彼は今夜帰っても 一人だ。

「いいよ」

惣市は矢島に また電話するといって、智身のマンションに立ち寄る。

「なんか一人暮らしってかんじだ…」

「アハハハ。アナタの家みたいに広くないから迷わないよ」

それでも 1LDKのこの広さは、一人暮らしには贅沢というか、相場よりかなり良い。

「タバコ吸っていい?」
「いいよ。何飲む?」

「なんでもいいよ」

智身はコーヒーを入れて 自分も、リビングのソファに座る。


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