恋愛最前線
智身の怒りは maxに達していた…


自分は惣市に近付いているのは 『金』の為だと… 言われているのだ。

「失礼します。その紙もこれも…要りません」

智身は、車を降りると
最後に。

「さっきから、自分の息子を馬鹿馬鹿って…。彼は馬鹿じゃないですよ。失礼します」

「自分の子供が憎い親などいないよ…。私のように毛嫌いはされていたとしてもね…。うちの息子では幼すぎる…。あなたのような女性とお付き合いさせるわけにはいかない。それを見て見ぬ振りなど、私は出来ない…」さっきまでの、完全に上から目線だけの横柄な雰囲気だけではない彼の父親に智身は、少し複雑な気持ちになったが、ベンツの重たいドアを思い切り締めた。

車内スピーカーから矢島が
「どうしますか?」

「アレの学校へ行け」

智身のマンションは駒沢。

惣市の学校までは車で2~30分。


校門の見える所で、彼をまつ。

車内スピーカーで
「矢島。私は間違ってきたのだろうかね…。宏次朗も惣市も、憎いわけなどないのにな…」


「…お二人とも、特に惣市さんは、まだお若い…。親のありがたみに気付くには…はやすぎでしょうね…」


金だけは 作ってきた…。

金だけは、自分を裏切らない。

世の中 金なんだと…

貧しいからと結婚を反対され…

以来 やみくもに 働き続けて来た…


二人三脚で頑張ってきた 妻には、何もしてやれないうちに先立たれ…

残された、2人の息子からは… 憎まれ…


これ以上 父親として なにが出来るか…

< 40 / 77 >

この作品をシェア

pagetop