恋愛最前線
真実
智身のマンションにつく。
エントランスのセキュリティを抜けて、部屋へ入る。

「たらりま」

智身は、ソファに体育館座りをしていた。

惣市は、智身の足元に座る。

「と…も」

彼女を見上げる。

泣いていた。

「…」

泣き声は、堪えていた…。

惣市は膝だちの姿勢になると、彼女を抱き締めた。
頭を撫でる…。

「…ごめん…ごめんね…泣かないで。智身が悪いんじゃないんだから」

智身は彼の腕に 顔をあてると、声を押し殺すように…泣いた。

「惣市くんが謝る事じゃ…ない…。ごめん…大丈夫だから…ちょっと…悔しくて…」

「なんかされた?」

もし… 彼女を傷つけようものなら。

親父でも、許さない。

「俺…帰らねーよ。ここに居る」

「うん…」

惣市は着替えると、
「ちょっと出かけて来る。なんかあったら電話して」


惣市は、父親の携帯に電話をした。

「もしもし?」

「なんだ。忙しい。要があるなら矢島に言え」

「俺帰らないからな。じゃあ」

惣市はそう言って、電話を切る。


渋い顔をしながら、彼は矢島を呼ぶ。

「はい矢島です」

「しばらく惣市を監視してくれ…」

「わかりました」


惣市は、明良に電話をする。

「おー。どしたぁ?」

「一生のお願いがある…」

惣市は明良の家に来ていた…。

明良の家も、鉄鋼関係の仕事をしていた…。

「まぢか?」

「うん。頼むっ」
惣市は両手で拝む。


「父さんにきいてみないとな…」

明良は、惣市と共に 父親の所へ行く…。

「とーさん!」

「おう。なんだ2人して」

惣市は、
「おじさん。俺にバイトさせてくれませんか?」
明良の父親は なんで江戸川グループのお坊ちゃまが、うちみたいな 小さなところで わざわざ バイトをするか…
不思議がった。

「社会体験ってゆうか。自分ちじゃ、意味ないっしょ?だから、お願いしますっっ」

「お父さんは、了解してるのかい?」

明良が
「してるよ。オレん家なら安心だって」

惣市は、ほっと胸をなでおろす。
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