恋愛最前線
改めて…道弘は、
智身の目前に座ると…
「…智身さん…惣市をよろしくお願いします…。残念ながら、こいつにはあなたが必要なようだ。あなたと居ると、まるで違う人間に見える…」

「…お父さん…。彼は全然変わらないですよ。いつも…。確かにまだまだ大人ではありませんが、私も同じなんです。少しだけ先に生まれてるだけで…。惣市君に教わる事も、助けられてる事も一杯あるんです…」

惣市は、
「俺…家かえらねーよ…」

道弘は、
「どの選択が自分にも相手にも周りにも、一番いいのか…考えなさい。反発や反抗的な目線じゃなく…。大切なものを守るには、男が超えなきゃならない壁が、まだまだある。わかるな?」

智身は、道弘の言葉を 惣市が言われていると言うよりは。

自分自身に 置き換えて聞いていた。

「時間はたくさんあるが、あっとゆうまだ。笑」
気付いたら…こんなじじぃになっていたと 道弘は笑った。


今日 この場で 全てに於いて 正しい答えが出るわけなんてなかった…

『正しい答え』なんて そもそも、あるのだろうか…


食事を終えて、矢島の送迎で、駒沢のマンションへ向かう。


智身は惣市に先に行っていてと…話す。


今日の礼を 最後にきちんと伝えて置きたかった。


「今日はありがとうございました…。私もタメになるお話を聞かせていただきました…。ご馳走さまでした」


「こちらこそ。また誘ってもいいか…おかしな話だ…。自分の子供と話のに、あなたが必要だなんて。ハハハ」

「是非こちらこそ!」

道弘は、矢島に智身に封筒を渡す。

「智身さん…これはお金じゃないですよ。今日…アイツのカードをとめてしまいました。代わりにアナタに持っていてもらいたい。学校のお金は心配はいらないが。やはりね、アナタに全ておんぶに抱っこというのは、私の立場も…少し考えてもらってもいいですか?」
智身は、カードを受け取った。

「わかりました。必要な分は、使わせていただきます」

「良かった…それから…今後の事ですが、私も少ないながら、力は尽くしますっ」

道弘は、智身の手を握った。

智身は
よろしくお願いしますと… 彼の手を握り返す。

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