恋愛最前線
「って、わけで、智身は、レポートあるから俺たち作るよ!!」

「もう、終わるから、大丈夫だよ」

智身は、眼鏡をはずすと、キッチンへ向かう。

「なに作るの?」

「すき焼き!」

「・・・わかった・・・」

智身は少し笑っていた。

すき焼きって、作るって程のことなのか・・・。

でも、まぁ、彼が、忙しい自分のためにしてくれているんだから・・・。


「惣市君さ、そこの棚から、コンロ出して」

キッチンの上のほうの棚から、卓上コンロを出す。

「はい。ガスは?」

「同じトコにない?」

「・・・あった。っぽい。奥過ぎてとどかねーな」

「台持って来ようか」

「・・はい」

惣市は両手を広げた。

「なに?」

「抱っこするから、とって」

智身の、なるべく太ももより下で、抱きかかえる。

「とれそ?」

「うん。OK」

リビングから、一部始終を眺める2人。

「いいなー。なんか、結婚してるみたい」

サチコがボソッと言う。

「するんじゃないの?」

「そういうこときてんじゃないからー。うらやましい・・・。惣市が穏やかなのが、まず、すごい・・・」

「うん。おれも、それは同じくだな・・・」

「なんか、やることありますかー?」

サチコもキッチンへやってきた。

智身は、惣市に、リビングのテーブルを明良と片付けてといった。

サチコには、野菜の下処理をお願いする。


「みんな、聖華?ずっと?」

智身は、サチコに話しかける。

「はい、そーですねー」

「みんな、お金持ちなんやね・・・」

「あー。そういう子も居るし。惣市みたいのも居るし・・・」

「あははは。確かに、彼はすごいわぁ。生活のレベルが違う。でも、ここに居るから、かなり庶民的よ、最近。笑」

< 66 / 77 >

この作品をシェア

pagetop