国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
◇◇◇


200年前、ニーナ・バイエルンは単なる伯爵令嬢だった。

そろそろお見合いの話が出るだろうという頃、一通の手紙が届いたのだ。
当時の大司教からの手紙には、『新たな聖女として招集する』と書かれていた。

(私が聖女? まさか……)

半信半疑だったものの、奉仕精神に溢れていた両親はたいそう喜んだ。

「神の代理として国を支えるなんて素敵なおつとめよ」
「我が娘が聖女なのだとしたら、これ以上誇らしいことはない」

両親はそう言ってニーナを大聖堂へと送り出した。

ニーナ自身、両親に期待されるのは悪い気がしなかった。
それに、伯爵令嬢として見知らぬ誰かと結婚するより楽しそうに思えたのだ。

(結婚しなくて良いし、人の役にも立てるなら悪くないかも)

けれど聖女はそんなに気楽なものじゃない。そう気づいたのは、当時の聖女と対面した時だった。


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