国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
8.ルティシアの闇
水晶での浄化方法を見つけた翌日、フェルディナンドはすぐさま皇帝への報告に向かった。

「方法が分かったし誰にでも出来るから、すぐに浄化活動が始まると思うよ。父は判断が早いから」

フェルディナンドの言う通り、報告から三日と経たずに森の瘴気の浄化が始まった。
マーティス指揮の下、順調に浄化が進んでいるらしい。

ニーナとフェルディナンドは、皇帝から「家にこもって身体を休めよ」と休暇を命じられ、のんびりと過ごす日々が続いていた。

「このパン本当に美味しい! 食べられるようになって良かったわ」
「そうだろう? あのパン屋から浄水のお礼にってたくさんパンを貰ったから、食べ放題だよ」
「最高ね! そうだ、以前薬屋で揉めていた方がお礼に来たわよ。ご実家で栽培している茶葉をいただいたの。パンと一緒にどうかしら?」
「いいね。淹れてこよう」
「あら、私がやるわ」

美味しい食事に穏やかな時間。
二人は久しぶりの休みを満喫した。

「そういえば、なぜセレンテーゼに瘴気が流れてきたのかしら? 風向きを考えたらルティシアへ向かうはずなのに」

淹れたてのお茶を飲みながら、ニーナは不思議そうに呟いた。


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