国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
結局ニーナとフェルディナンドは、今夜のパーティーに参加することになった。

ニーナは早速別室に案内され、ドレスやアクセサリーを選ばされていた。

「こちらもお似合いですよ」
「このドレスも良いと思いますわ」
「アクセサリーはどうなさいますか?」

お世話係だという女性たちに囲まれたニーナは、大きな鏡の前で目を白黒させていた。

「そうね……そちらをお願いしようかしら」

最終的に考えることを放棄したニーナは、適当に指さしたドレスを着ることにした。

あっという間に着付けられ、鏡の中の自分が別人に変身していく。

「まぁ! 美しくなりましたわ」
「殿方の視線を釘付けできますよ」
「パーティーの主役間違いなしです」

聞いてるだけで胸焼けしそうな褒め言葉を受け、苦笑いすることしかできない。

(出来るだけ目立ちたくないんだけど……)

内心はそう思っても、目を輝かせているお世話係に言うわけにはいかない。

「ありがとう。完璧な仕上がりだわ」

ニーナが上品に微笑むと、お世話係たちは歓声を上げた。
どうやら彼女たちはニーナのことを、大賢者のパートナーだと思い込んでいるようだ。

(変に説明するより、勘違いしてくれたほうが好都合だわ)

だからこそ、ニーナはどこかの令嬢のように貴族らしい振る舞いを続けなければならなかった。
内心げっそりしていたが、フェルディナンドが来てくれるまでニーナは高貴な女性を演じ続けた。

「ニーナ、準備出来たかい?」

先に準備を終えたフェルディナンドが部屋を訪れた時、ニーナは安堵のため息をついた。



< 115 / 175 >

この作品をシェア

pagetop