国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
9.セレンテーゼの危機
突発で参加したパーティーの後、ニーナとフェルディナンドは塔に着くなり長いため息をついた。

「はぁー、今日は流石に疲れたわ。人と会うのって、研究とは違った疲労が溜まるのね」

ニーナはぐるぐると肩を回した。

「ニーナは全然疲れてみえなかったけどな。父や兄さんと話してる時も毅然としてたじゃないか」
「あら、フェルが脅すからじゃないの」
「僕が?」

フェルディナンド意外そうな口ぶりだ。

「お父様が私を利用するはずだーとか言ってたでしょう? だから気合いを入れていたのよ。褒められるだけで終わったから、ホッとしたわ」
「あー……父にとっては喜ばしい話だっただろうからね」

フェルディナンドは苦笑いをしていた。
ニーナとフェルディナンドが事の顛末を皇帝に報告した時、彼は実に楽しそうな笑い声を上げていた。

『そうか、やはりルティシアの仕業だったか。はっはっはっ、良い流れがきていると思わんか?』

隣にいたマーティスもご機嫌で、「ルティシアは変革期に入ったようだね」とワインを煽っていた。

(あの二人ってば報告する前から勘づいていたみたいだし、本当に油断ならない人たちだこと)

二人のギラギラとした獰猛な表情を思い出すだけで、背筋に寒気が走る。





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