国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
今はニーナに対して友好的な二人だが、いつまでもそうとは限らない。
意見が食い違えばフェルディナンドの言う通り、利用されて捨てられるのだろう。

「皇帝陛下の思惑はともかく、セレンテーゼ帝国にはお世話になっているし、喜んでもらえて良かったわ」
「あの二人は先走りすぎるんだ。まだ確たる証拠があるわけじゃないのに……まあでも、すぐ尻尾を出すと思うよ。ほら、彼ら発狂してたし」

フェルディナンドはアレクサンドロスとマリアのことを思い出したようだ。
ぽつりと「あれはすごかった……」と珍獣でも見たかのような感想を呟いていた。

「追い詰めすぎたかもしれないと反省したの。窮地に追い込まれた者は、何をするか分からないわ」

ニーナが反省の色を滲ませると、フェルディナンドは目を細めた。

「それは願ったり叶ったりだけどね。ルティシアとの静かな確執を一気に解決出来そうだし」

フェルディナンドは爽やかにそう言ってのけた。

(フェルってやっぱり皇族の血が流れているのね……)

フェルディナンドも敵に回したくない、と改めて思うニーナだった。


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