国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「これは……すぐに消毒をしよう」

フェルディナンドが急いで消毒の用意を始める。
ニーナは振り返ると男性に詰め寄った。

「家はどのあたりですか? 今日どこかへ外出しましたか? ご主人は息苦しさとかを感じていませんか?」

ニーナが矢継ぎ早に質問すると、男性は驚いたようにニーナを見た。

「い、家はここから川沿いに行った先です。今日は街で買い物したくらいで……。俺はなんともありません。……あの、妻はかなり悪いのですか?」

心配そうに見つめる男性を見て、ニーナは反省した。

(いけない、落ち着かないと。こちらが冷静にならなきゃ、心配させちゃうわ)

ニーナは一呼吸置くと、男性に向かって微笑んだ。

「奥様は体力を消耗して気を失っているだけです。ただ、他の方にも同じ症状が出る可能性があったので、いくつか質問させていただきました。見たところ旦那様はご無事のようですね。今、奥様に気付け薬を用意します」
「そ、そうですか……。ありがとうございます」

男性は安堵の表情を浮かべた。

「フェル、私はニガナシ草を用意してくるわ」
「あぁ、よろしく」

ニーナはすぐさま部屋を出ると、深く深呼吸をして自身の震える身体を押さえつけた。



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