国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「あれは瘴気による炎症だわ。間違いない……」

濃い瘴気を吸い込んだ時に現れる症状だ。身体の一部が薔薇のような模様に爛れてしまう。
ニーナ自身、あのように鮮明な症状を見たのは初めてなのだ。

(放っておくと、じわじわと身体の中に痛みが広がるのだと聞いたことがあるわ)

「ニガナシ草が効くと良いんだけど……とにかく急いで用意しなくちゃ」

ニガナシ草は身体の治癒力を高めてくれる効果がある。
飲ませれば少しは身体が楽になるはずだ。

ニーナがニガナシ草を煎じて部屋に戻ると、ちょうど消毒が終わったところだった。

「旦那様、奥様の上体を起こしてください」
「あ、あぁ分かった」

ニーナが女性の口にそっと薬を含ませると、喉が上下した。

「良かった……薬は飲めるようです」

グラスが空になるまで飲ませると、再び女性を横にさせる。
ニーナがフェルディナンドに目をやると、彼は小さく頷いた。

「きっと明日の朝には目を覚ますでしょう。旦那様もこの部屋でお休みください」
「ありがとうございます! 大賢者様、お弟子様……!!」

男性は目に涙を浮かべながらニーナ達に感謝した。



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