国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「聖紋か……確か、こうだったかな」
ニーナは近くにあった紙に聖紋を描いてみた。
けれども何も起こらない。
「まあ何も起きないわよね。そりゃそうよ。この紋、ルティシアのいたるところに描いてあったけど、何も起きたことなかったもの。せめて水晶に直接彫るとかじゃなきゃ駄目よねー」
駄目なら仕方がない。さっさと片付けて医院に行く用意をしよう。
そう思ったニーナが何気なく水晶を紙の上に置いた時――
「ん?」
水晶から黒い煙が上った。
「な、何? 水晶が……」
慌てて水晶を手に取ると、そこには黒い靄のない透明な輝きがあった。
「嘘、瘴気が消えてる? ……すごい! 大発見だわ!」
ニーナは急いでありったけの紙に聖紋を描くと、足早に医院へと向かった。
「先生! フェル……大賢者様は来ていますか?」
医院に飛び込んできたニーナを見て、医師は目を丸くしていた。
「い、いますよ。ほら、そこに」
医師が指さした先には、患者用のシーツを洗濯しているフェルディナンドの姿があった。
「フェル! これっ! 見て!」
走り疲れたニーナが息を絶え絶えにフェルディナンドへと紙を渡すと、彼はきょとんとした顔で受け取った。
「これがどうかしたの? ……変わった模様だけど」
「これっ、ルティシアの聖紋なんだけどね……」
ニーナは息を整えると、先ほどの出来事を話した。
水晶で皮膚が治癒出来ること。
治癒に使った水晶は聖紋で瘴気を消せること――
話していくうちに、困惑していたフェルディナンドの表情が驚きへと変わっていった。
ニーナは近くにあった紙に聖紋を描いてみた。
けれども何も起こらない。
「まあ何も起きないわよね。そりゃそうよ。この紋、ルティシアのいたるところに描いてあったけど、何も起きたことなかったもの。せめて水晶に直接彫るとかじゃなきゃ駄目よねー」
駄目なら仕方がない。さっさと片付けて医院に行く用意をしよう。
そう思ったニーナが何気なく水晶を紙の上に置いた時――
「ん?」
水晶から黒い煙が上った。
「な、何? 水晶が……」
慌てて水晶を手に取ると、そこには黒い靄のない透明な輝きがあった。
「嘘、瘴気が消えてる? ……すごい! 大発見だわ!」
ニーナは急いでありったけの紙に聖紋を描くと、足早に医院へと向かった。
「先生! フェル……大賢者様は来ていますか?」
医院に飛び込んできたニーナを見て、医師は目を丸くしていた。
「い、いますよ。ほら、そこに」
医師が指さした先には、患者用のシーツを洗濯しているフェルディナンドの姿があった。
「フェル! これっ! 見て!」
走り疲れたニーナが息を絶え絶えにフェルディナンドへと紙を渡すと、彼はきょとんとした顔で受け取った。
「これがどうかしたの? ……変わった模様だけど」
「これっ、ルティシアの聖紋なんだけどね……」
ニーナは息を整えると、先ほどの出来事を話した。
水晶で皮膚が治癒出来ること。
治癒に使った水晶は聖紋で瘴気を消せること――
話していくうちに、困惑していたフェルディナンドの表情が驚きへと変わっていった。