国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
患者の数が落ち着いた数日後、ニーナとフェルディナンドは人々の治療を医師に任せて、皇帝のもとへと向かった。

「皇帝陛下はルティシアをどうするおつもりかしら」
「まあ……父は手に入れるだろうね。地理的にはあの地は必要不可欠だから」
「……そうよね」
「ニーナなセレンテーゼにルティシアが取り込まれるのは嫌?」

フェルディナンドの疑問にニーナは首を振った。

「ううん。いつかは従属国になると思ってたから。ただ、平和的に事が運んでほしいなって」
「父は無駄な争いは好まないはずだ。その点はあまり心配はないと思うけど……」
「けど?」

フェルディナンドは言いにくそうに口ごもった。

「ほら、ルティシアの王子って何をしでかすか分からないから、父の逆鱗に触れるんじゃないかって。父は容赦ない一面もあるし、どうでも良い相手には残忍さをみせることもある」
「あぁ……」

ニーナはアレクサンドロスの顔が浮かんで頭が痛くなった。

「皇帝陛下には死ぬ気でお願いするわ。アレクサンドロス殿下のせいで戦争になったらおしまいよ!」

ニーナは皇帝に会う前に気合を入れるのだった。


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