国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
その後、皇帝はフェルディナンドとともにルティシアへの交渉条件について話していた。
かなり帝国有利な条件を提示するようだ。
だが今までの被害を考えれば、納得のいくものだった。

(今回、帝国は一方的に多大な被害を受けた。ルティシアは従うしかないでしょうね。従わなければ……)

帝国の連合軍と戦って、小国のルティシアがかなうはずもない。
戦う前から結果は明らかだ。

「後は奴らがどう出るかだ。なかなかに面白いことが進んでいるようだからな」
「面白いこと……」
「そうだ。この件にはニーナ・バイエルンも大きく関わっている。必ず交渉の場には出席するのだぞ」

ニーナは目を丸くした。

「待ってください! 確かにルティシアの王子に対して挑発的な言動を取りましたが……私がいては相手を逆撫でしてしまいます」

皇帝はニーナの言葉に「そのことではない」と言いながら笑っていた。

「今回の件、お前が考えているより根深いのだ。ルティシアの歴史にも関わる話だ」
「根深い……? それはどういう」
「詳細はルティシアの人間から聞いたほうが良いだろう。良いか、必ず出席するように。フェルディナンドは……分かっているな」
「もちろんです」

フェルディナンドは皇帝の言葉に頭を下げる。

(フェルは出席しないの……? どうしよう)

ニーナがフェルディナンドを見つめると、彼はニーナを安心させるように微笑んだ。

「大丈夫だよ」
「でも……」

ニーナは疑問と不安を残したまま、交渉の日を待つこととなった。



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