国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「どうした、驚きで声も出ないのか? お前が罪なき人々の治癒を拒み、逆に呪いをかけていることは把握済みだ! これを見ろ! 今まで不当な呪いをかけられた者たちの嘆願書だ。彼らの言葉が何よりの証拠!」
王子が分厚い紙を掲げると、周囲は驚きと困惑の声に包まれた。
(あの分厚い紙の束が嘆願書? 全国民の声を集めたって、あんなに分厚くならないんじゃない?)
ニーナにとっては身に覚えのない話だ。だが相手は一国の王子。下手に反論すれば罪を追加されるだけだ。
どうしたものかと思案していると、王子の隣の少女がウルウルと目を潤ませながら、口を開いた。
「ニーナ様、聖女である貴女が行った悪行は許されません。私も昨日怪我をして、ニーナ様のもとへと運び込まれました。けれど……ニーナ様は私の治癒を拒否したのです! 私がアレクサンドロス様と親しいから、嫉妬なさったのでしょう。醜すぎますぅ。私以外にも被害者はたくさんいます! 聖女様が怖くて言い出せなかったみたいですけど……」
マリアと呼ばれた少女がぎゅっと王子の腕にしがみつく。王子はマリアの頭を優しくなでた。
マリアを眺める顔は、ニーナを睨んでいる時とは大違いだ。
「マリアの言う通りだ! ニーナは聖女ではなく、大悪党だったのだ!」
(一体何を見せられているの?)
ニーナは密やかにため息をついた。
王子が分厚い紙を掲げると、周囲は驚きと困惑の声に包まれた。
(あの分厚い紙の束が嘆願書? 全国民の声を集めたって、あんなに分厚くならないんじゃない?)
ニーナにとっては身に覚えのない話だ。だが相手は一国の王子。下手に反論すれば罪を追加されるだけだ。
どうしたものかと思案していると、王子の隣の少女がウルウルと目を潤ませながら、口を開いた。
「ニーナ様、聖女である貴女が行った悪行は許されません。私も昨日怪我をして、ニーナ様のもとへと運び込まれました。けれど……ニーナ様は私の治癒を拒否したのです! 私がアレクサンドロス様と親しいから、嫉妬なさったのでしょう。醜すぎますぅ。私以外にも被害者はたくさんいます! 聖女様が怖くて言い出せなかったみたいですけど……」
マリアと呼ばれた少女がぎゅっと王子の腕にしがみつく。王子はマリアの頭を優しくなでた。
マリアを眺める顔は、ニーナを睨んでいる時とは大違いだ。
「マリアの言う通りだ! ニーナは聖女ではなく、大悪党だったのだ!」
(一体何を見せられているの?)
ニーナは密やかにため息をついた。