国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
外ではフェルディナンドが包帯の男の傷口を清めていた。

「お待たせしました。これを塗ってみてください」
「塗り薬か? 本当に……?」

ニーナの差し出した薬を見て、包帯の男は躊躇した。
ニーナは構わず彼の腕を掴むと、薬を指にとって傷口に塗り広げていく。
男は思わず腕を引こうとしたがニーナの力が想像以上に強く、されるがままだった。

「いっ!……たくねえ。痛くない! むしろ痛みが引いたみたいだ。こりゃすげぇ!」

包帯の男は感嘆の声を上げた。
その様子にニーナはほっと息をつく。

「良かった。でも痛みが引いたのは一時的な効果です。一日二回、朝と寝る前に薬を塗ってください。三日ほどで傷は塞がるでしょう。それから身体に入り込んだ毒を出すために、ココリの丸薬を三日間飲んでください」

ニーナの説明に包帯の男は感心したように頷いた。

「分かった。言う通りにしよう。疑って悪かった。お嬢ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして」

新しい包帯を巻き直してやると、男は嬉しそうに笑った。

それから排毒薬であるココリの丸薬を受け取った男は、深い礼をして帰っていった。

「この恩は忘れないぞ。大賢者様のところにお礼をしに行くから待っててくれよな!」
「待ってるわ。お大事にね!」

男を見送ると、いつの間にか背後に店主が立っていた。

「アーロニアとチリカ、それからココリ。全部で銀貨150枚です」
「あっ……」

店主の顔を見たニーナは冷汗をかいた。


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