国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
日が落ちた頃、テーブルにはニーナの作った料理がずらりと並んでいた。

「えーっと、羊の香草焼き、カボチャのポタージュ、ハーブのサラダ……。後はそうね、折角ハーブがたくさんあるのだし……」

ニーナはいそいそとキッチンへと戻る。その背中はどことなく軽やかだった。



「これは……随分と豪勢だね」

夕飯時、席についたフェルディナンドは驚きの声を上げた。

「食材はそんなに使ってないから安心して。ハーブ料理が久しぶりで、ついつい凝ってしまったわ。さあさあ、まずはこれを飲んで」

ニーナはそう言いながら、フェルディナンドに飲み物を勧める。

「このグラスは?」
「食前酒よ。折角だから消化に良いハーブをいくつか入れてみたの。香りも良いのよ」

フェルディナンドは興味深そうに食前酒に口をつけた。

「風味が爽やかで飲みやすいね。寝る前にも欲しいくらいだ」
「じゃあ後でまた作るわ。さあ食べましょう」

フェルディナンドは一口食べるたびに、料理の感想を丁寧に述べてくれる。

自分で食べるためだけにしか料理をしたことがなかったニーナは、口角が上がりっぱなしだった。


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