国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
帰国したフェルディナンドは、聖女について調べ始めた。
彼女はなりたくて聖女になったわけではないということ。
終わらない命を授けられ、国に何百年も酷使されること。
調べれば調べるほど、聖女はフェルディナンドよりも過酷な運命のもとにあった。
『いつか貴女を助けます。僕の寿命が尽きる前に、絶対』
フェルディナンドはそう誓い、今まで以上に学問にのめり込んだ。
そして成人を迎えた時、父に皇室からの離脱を申し出たのだった。
『大賢者となり帝国を支えます』
その宣言に父は黙って頷いた。
兄のマーティスが跡継ぎに決まっている以上、賢者という立場になった方が余計な問題が起きなくて済む。
そう考えたのだろう。
そしてフェルディナンドはとある賢者のもとで修業をし、数年で皆の支持を得て大賢者と呼ばれるまでに登り詰めたのだ。
(今なら彼女の力になれるかもしれない)
大賢者と呼ばれ始めてからしばらく経った頃、フェルディナンドはそう思えるようになっていた。
そこでルティシアとの外交について、皇帝に進言する回数を増やすことにした。
国が聖女を縛りつけるならば、国を変えればいい。
ルティシアに対して厳しい意見を出しているうちに、大賢者はルティシアが嫌いなのだという噂が流れていた。
(それなのに、ニーナはよく僕を訪ねてきたな。貴女の芯の強さはあの時から全く変わらない……)
「せっかく僕のもとに女神が落ちてきたんだ。必ず僕が貴女を災いから守ります。でもどうか、僕のことはまだ忘れていて。まだ、もう少しだけ、師匠のフェルでいさせて――」
彼女はなりたくて聖女になったわけではないということ。
終わらない命を授けられ、国に何百年も酷使されること。
調べれば調べるほど、聖女はフェルディナンドよりも過酷な運命のもとにあった。
『いつか貴女を助けます。僕の寿命が尽きる前に、絶対』
フェルディナンドはそう誓い、今まで以上に学問にのめり込んだ。
そして成人を迎えた時、父に皇室からの離脱を申し出たのだった。
『大賢者となり帝国を支えます』
その宣言に父は黙って頷いた。
兄のマーティスが跡継ぎに決まっている以上、賢者という立場になった方が余計な問題が起きなくて済む。
そう考えたのだろう。
そしてフェルディナンドはとある賢者のもとで修業をし、数年で皆の支持を得て大賢者と呼ばれるまでに登り詰めたのだ。
(今なら彼女の力になれるかもしれない)
大賢者と呼ばれ始めてからしばらく経った頃、フェルディナンドはそう思えるようになっていた。
そこでルティシアとの外交について、皇帝に進言する回数を増やすことにした。
国が聖女を縛りつけるならば、国を変えればいい。
ルティシアに対して厳しい意見を出しているうちに、大賢者はルティシアが嫌いなのだという噂が流れていた。
(それなのに、ニーナはよく僕を訪ねてきたな。貴女の芯の強さはあの時から全く変わらない……)
「せっかく僕のもとに女神が落ちてきたんだ。必ず僕が貴女を災いから守ります。でもどうか、僕のことはまだ忘れていて。まだ、もう少しだけ、師匠のフェルでいさせて――」