国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
フェルディナンドはニーナの手を取ると、足早に来た道を戻り始めた。

塔に戻るといくつか水瓶を用意して、馬車で再び森へと向かう。
そして湧き水を大量に手に入れたのだった。



ニーナとフェルディナンドは塔の一室に瘴気対策用の実験室を用意することにした。

「この部屋なら薬草庫から少し離れているから、薬草に影響はないだろう」
「そうね。ここで浄水方法を探りましょう!」

実験室で浄水装置を作り始めると、フェルディナンドは目に見えて生き生きしだした。

(フェルは実験とか検証が好きなのね。子供みたいに目を輝かせているわ)

「ふむ……砂と泥ではあまり効果がないようだ。やはり異物を取り除くのとは勝手が違うな」

フェルディナンドはガラス瓶の中の水を眺めながらそう言った。

それを見ていたニーナは、ふと昔読んだ書物のことを思い出した。

「炭はどうかしら? 水に炭を沈めて一晩おくと、味がまろやかになるって聞いたことがあるわ。もしかしたら、浄水の効果があるかも」

その言葉にフェルディナンドの顔がパッとさらに明るくなった。

「良いね。となると、いくつか植物の炭で検証しないと……あぁ、薬草部屋の植物じゃ足りないかもしれないな。薪や庭にある木も試したい。乾燥している枝なら出来るだろうか……」

結局、数種類の植物で炭を焼いていたらすっかり夜も更けていた。


二人は食事もとらず実験を行い、気がついたら机に伏して眠ってしまっていた。


「……ーナ! ニーナ、起きて!」



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