国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
たっぷりと買い物をして塔に戻ると、入口の前に大きな馬車が止まっていた。
よく見ると人影もある。
その人は、入口の前で困り果てたようにウロウロとしていた。

「あのー、大賢者様に何か御用ですか? 今、出かけていて……」

ニーナが後ろから声をかけると、その人はびくりと跳ねた。
執事服のような服装の彼は、随分と若く見える。
よく見るとフェルディナンドよりは年上に思えるが、挙動のせいで幼く見えた。

彼はこちらを見ると、目を大きく見開いた。

「わぁっ! ……も、もしかしてニーナ・バイエルン様ですか?」
「え、えぇ。そうですが」
「良かった! 今、貴女に皇帝陛下からお呼び出しがかかっております。至急、城まで来ていただけますか?」
「え!? な、なぜ?」

ニーナが驚いていると、彼はニーナを馬車に押し込みながら申し訳なさそうな顔をした。

「詳しいことは僕にも……。ただ連れてこいとだけ。分かる範囲でお話ししますから、とにかく乗ってください。あ、同乗失礼します」
「ちょ、ちょっと!」

あれよあれよという間に、ニーナを乗せた馬車は出発してしまった。


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