国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
馬車の中では買い物かごを抱えたままのニーナが、目を白黒させていた。

「えっと、ちゃんと説明してください。私は皇帝陛下に呼び出されて、城に向かっている……のですよね? フェル、……フェルディナンド様はご無事なのですか? 貴方はどなたなのですか?」

ニーナの質問に、目の前の人物はぺこぺこと何度も頭を下げる。
そして丁寧にニーナの質問に答えていった。

「僕のことはヤンとお呼びください。僕はマーティス殿下の執事をしております。フェルディナンド様はもちろんご無事です。皇帝陛下やマーティス殿下とともに、ニーナ様をお待ちですよ。ただ、フェルディナンド様は城内に使用人がおりませんでしょう? ですから、マーティス殿下が代理で僕をニーナ様のもとに遣わされたのです」

フェルディナンドが無事。そのことが知れたニーナはホッとして力を抜いた。

(フェルと皇帝陛下とマーティス様が一緒にいるってことよね? 湧き水の件だとは思うけど……)

「私はなぜ呼び出されたのでしょう?」

当然の疑問をヤンにぶつけると、彼はまた申し訳なさそうな顔をした。

「ぼ、僕は詳しいことを知らないのですが……皇帝陛下がニーナ様に会ってみたいと仰ったとか」
「そうですか……」


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