国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
皇帝が退出すると、フェルディナンドが早足でニーナのところへやってきた。

「兄の使いが迎えに来たそうだね。来てくれてありがとう。それと……申し訳ない。突然のことで驚いただろう。話の流れでニーナを呼び出すことになって、僕は止められなかった」

フェルディナンドがものすごい勢いで頭を下げるので、ニーナは思わず笑い声をこぼした。

「フェルが謝ることは何もないわ! こんな機会でもないと、帝国のお城には入れないでしょう? それに皇帝陛下ともお話できたし、とても楽しかったわ。フェルとマーティス様のお父様って感じの人だったわね」

ニーナは笑いながら「今度はお母様にもお会いしたいわ。なんてね」と冗談を付け足した。

「ニーナには敵わないな……。話したくないこともあっただろうに、本当にありがとう。ルティシアのことを守ったのも立派だった」

ニーナは頭を下げ続けるフェルディナンドの手を、そっと取った。


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