国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
◇◇◇


マリアが新聖女として就任した時、彼女はやる気に満ち溢れていた。

『困っている人々を救うお役目が出来るなんて幸せです!』

ところが彼女が初めて土地を浄化した時、悲鳴を上げ泣き叫んだのだ。

『いやぁーーっ!!! 痛い! なにこれ……!! なんで私に痛みが!?』

パニック状態になったマリアは、地面をのたうち回り、浄化を完了させることなく大聖堂へと戻ることになった。
自らの力に苦しんで浄化を中断させる聖女なんて、聞いたことがない。

報告を受けたアレクサンドロスは、大司教を呼び出した。

『一体どうなっているんだ! なぜマリアが苦しむんだ? 彼女が可哀想だろう?』

すると大司教は困ったように笑ったのだ。

『私どもも原因が分からないのです。聖女の力の使い方は、代々先代の聖女から受け継がれるものですから……。それに、これまでの聖女に痛みを訴える者はおりませんでした。記録には何も残っていないのです。もしかしたら、マリア様が正当な後継者ではないからかもしれません』
『計画段階では問題ないと言っていたじゃないか!』
『いやいや、まったく想定外ですな。ですが聖女には慣れていただくしかありません。浄化や治癒が出来るのは、聖女ただ一人なのですから』

まったく大司教は使えない。

(とにかくマリアの様子を確認しよう。苦しんでいたらしいから、慰めてやらないとな)


アレクサンドロスはマリアと会うために大聖堂へと赴いた。

『アレクサンドロス様! 私、もう聖女なんてやめます!!』



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