国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
(おばあちゃんを舐めてると痛い目に遭いますからね)

ニーナは穏やかな笑みを浮かべると、皆に一礼した。
今まで微動だにせず黙っていたニーナが突然完璧な礼をしたものだから、皆が口を閉ざして注目している。

「神の決められたことならば、私は従うまでです。私は聖女の立場から退き、国を出ましょう。ですが……老婆心ながら申し上げます。聖女の力は万能ではありません。マリア様の負担になることもあるでしょう。どうか、殿下がお支え下さい」

凛としたニーナの声が人々の耳に真っ直ぐ届いた。その堂々とした姿は、女神の様だった。

「ふんっ、お前に言われなくともマリアを支えるのは恋人である俺の役目だ」

王子はニーナの冷静な態度をつまらなさそうに見た。
ニーナは気にせず言葉を続ける。

「それと大司教様、確認ですが……私の力は全てなくなったのでしょうか」
「はい、神は全てをマリア様へとお移しになられました」

大司教はニーナの質問に対して無機質に答えた。
その言葉を聞いたニーナは、にっこりを笑みを深める。

「それを聞いて安心しました。では私は失礼します。ここにいる皆様とこの国に幸あらんことを!」

ニーナはそう言い残して大聖堂を後にした。



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