国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
アレクサンドロスはマリアのことを愛していた。

王子という立場上、寄って来る人々は権力目当てばかりで、アレクサンドロスは常に孤独だった。

現国王に恨みを持つ者に命を狙われることも少なくない。
常に相手を疑い続ける日々。アレクサンドロスは疲れ切っていた。

(誰でもいい……本音で話せる人が欲しい)

そんな時に出会ったのがマリアだった。
マリアと出会ったのは、偶然だった。
男爵令嬢である彼女は、行儀見習いとして城で働いていたのだ。

『差し出がましいのを承知で申し上げます、殿下。貴方は少しお休みになった方が良いと思いますわ』

書庫で整理をしていた彼女は、アレクサンドロスを見るなりそう言ったのだ。

『なぜそう思うんだ?』

アレクサンドロスが問うと、マリアは不思議そうに首を傾げ、アレクサンドロスの頰に触れた。

『お顔を見れば分かりますでしょう?』
『……っ!』


その瞬間、アレクサンドロスは恋に落ちたのだ。
そしてマリアもまた、アレクサンドロスに好意を持っていた。

(マリアだけは俺のことを分かってくれる! 彼女を手放したくない)

それからアレクサンドロスは毎日書庫に通い、彼女に愛を囁いた。

そこで愛を育み、一ヶ月後には結婚の約束も取り付けた。

『俺には君が必要なんだ。次期王妃として、俺のそばにいてくれないか?』




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