国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
今日のニーナはやる気に満ち溢れていた。
今日は皇帝に呼び出されてから三日後、つまり瘴気探索の日なのだ。

(瘴気のことなら少しは詳しいし、お役に立てるように頑張ろう!)

そわそわと待っていると、約束通りマーティスの使者が迎えに来た。

「大賢者様、ニーナ様、お迎えに上がりました。殿下が森でお待ちです」
「よし! フェル、行きましょう!」



フェルディナンドとともに馬車に乗せられ森に到着すると、そこには数名の騎士とマーティスがいた。
皆、分厚いマスクをしている。

「なんだ、二人ともマスクをしていないじゃないか! これから瘴気が漂う森に入るんだから、ちゃんと着けて」

マーティスが呆れたように指示を出すと、騎士からニーナにマスクが渡された。

「ありがとうございます……ですが、私は遠慮します。瘴気の匂いが分からなくなってしまいますから」

ニーナは差し出されたマスクをフェルディナンドに渡す。

「フェルはちゃんと着けてね。瘴気を採取するまで倒れちゃダメよ」
「まるでニーナは倒れるような言い方だね。どういうつもり?」

フェルディナンドの声が低くなる。ニーナは慌てて笑顔を浮かべた。

「わ、私だって倒れるつもりはないわ! ほら、私は瘴気に慣れているから、多少は吸い込んだって大丈夫なの。匂いを嗅ぎ分けるのに適任でしょう?」
「……分かった。でも! 体調に異変を感じたらすぐに言ってね。絶対だよ? もし無理したら……一週間ベッドに縛りつけて無理矢理休んでもらうから」

日頃のニーナの行動を良く知るフェルディナンドは、怖い顔でニーナに念を押した。

「はいっ!」

ニーナの元気な返事に、フェルディナンドはひっそりとため息をついていた。



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