国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
ニーナの声に皆が足を止める。

「ニーナちゃん? なにか見つけた?」

マーティスの言葉にニーナは首を振った。

「ここに発生源はありません。おそらくこれ以上探しても見つかりません」
「どういうこと?」

フェルディナンドが怪訝そうに尋ねる。

「ここの瘴気は通常の瘴気とは少し違うようです。地面に触れてみてください」

フェルディナンドが地面に触れようとしゃがみこむ。そして何かに気づいたようだ。

「瘴気が……地面から出ている?」
「えぇ。地面に瘴気が染み込んでいるの」
「大気中よりも濃いな。なぜ地面だけに……」

皆がしゃがみ込んで確認している。
皆ニーナより背が高いから、より一層大気との濃度の違いを感じているだろう。

「おそらく雨水の仕業です。昨日雨が降っていたでしょう? 雨雲に瘴気が含まれていたと考えられます。街中では排水されてしまい気がつかないほど薄い濃度の瘴気が、雨水に含まれていたのでしょう」

フェルディナンドはそっと土を掘り、空の壺に土を採取していく。
土からは少しだけ強く瘴気の匂いが感じられた。

「確かにその可能性が高そうです。ニーナの考えは筋が通っている」


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