国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「ニーナちゃんもフェルディナンドもそう思うなら、確かなんだろう。これ以上ここを彷徨うのは時間の無駄だ。発生源がないのだからな。撤収しよう」

マーティスはあっさりと判断を下した。

もと来た道を戻りながら、土を採取していく。
帰りがてらの議題は、瘴気の解消方法だった。

「発生源がないなら、どうやってこの瘴気を消し去ればいいんだ? フェルディナンドは難題を抱え込まされたってことだな」

マーティスが軽い口調で笑っていたが、重たい課題であることは間違いなかった。

「本当に……。発生源がない、というのは厄介です。土の浄化だけでは不十分でしょうし。何か対策を考えないと、いずれ街にも影響が出てきそうです」

ため息混じりのフェルディナンドは、マーティスとは対照的な表情をしている。

「ま、我が弟なら大丈夫! ほら、期待の新星ニーナちゃんもいるしね?」
「わ、私ですか?」

突然巻き込まれたニーナは、思わずマーティスに聞き返した

「そうだよ! 『ニーナ・バイエルンは度胸があり、底知れぬ考えをお持ちの方だ。きっと大成するだろう』ってヤンから報告を受けたんだ。あのヤンにそう言わしめるなんて、ニーナちゃんは期待の星だよー。フェルと組んだら百人力!」

マーティスの言葉にニーナは目を丸くした。フェルディナンドも少し驚いたような顔をしている。


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