国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「あのヤンがそのような評価を? ニーナは流石だね」
「フェルまで何を……お二人とも、あまり過大な期待をしないでいただると」
「俺の従者は人をよく見てるからね。間違いなくニーナちゃんは大物になるよ! ま、もう大物だけど」
「私は単なる小物ですってば」

どうやらオドオドしていたヤンは、人を評価するための仮の姿だったようだ。

(マーティス様ってば、そんな人物を送り込むなんてね。セレンテーゼの皇族は一筋縄ではいかない人ばかり)

ニーナは舌を巻いた。そして少しだけ気を引き締める。

「私は小物ですけど、何かお役に立てるよう善処いたします。ルティシアでは瘴気が雲に混じることはなかったですが、過去事例をもっと探してみますわ」
「うん、よろしく頼むよ。フェルディナンドと一緒に頑張って」

(他には……フェルのために何か出来るかしら? とにかく瘴気に関する情報を集めないと)

ルティシアを出る時に持ってきた書物の中に、日記があったはずだ。
何度か瘴気に関するメモを取った記憶がある。

ニーナが思い出していると、マーティスがふと口を開いた。

「ルティシアか……そういえば、新聖女について不思議な情報を手に入れたんだ。目撃情報がなくて、聖女の任務を行っていないかもしれないって言ってただろう? どうやら力がうまく使えなくて療養中なんだとか。それで、国中がお通夜のような重苦しい雰囲気なんだってさ」



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