国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
2.セレンテーゼ帝国へ
「ふぅ……ここまで来れば、もう大丈夫かしら」

都心から離れた草原でニーナは足を止めた。
いつも教会巡りについてくる護衛はもういない。
ニーナは一人だった。

周囲に誰もいないことを確かめると、ニーナは大きく息を吸った。

「あーー!! もう聖女なんてこっちからお断りよー!!」

大きな声で叫ぶと幾分か気持ちがスッキリする。
ニーナは満足げに笑うと、再び歩き出した。

「さーて、どこへ行こうかしら? あてなんてないし」

ニーナの家族はとうに亡くなっている。いつまでも生きているニーナは不気味がられて、親戚とも疎遠になってしまった。

(不老不死だなんて、ロクなものじゃなかったわ。好んで聖女になったわけでもないのに)

忘れもしない、200年前。大聖堂に呼び出されたあの日――


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