国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
7.浄化の秘密
森の瘴気調査後、ニーナはフェルディナンドとともに土の調査を開始した。

しかし調査から数日が経っても、なかなか成果は現れない。

「やはり森の深部の方が若干瘴気が濃いね。だけど同じ時期の瘴気で間違いなさそうだ。雨で森全体が汚染されたっていう仮説は正しそうだね」

フェルディナンドが壺を並べてメモを取っている。
ニーナは実験器具を片付けながら壺をぼんやりと見た。

「でも土と混ざってしまっているし、ここから瘴気だけを取り除くっていうのは難しそうね」
「となると、やはり雲や大気を直接浄化するしかないな……さらに難易度は上がりそうだけど、やり甲斐がありそうだ」

フェルディナンドの顔には疲労の色が滲んでいたが、相変わらず楽しそうだ。

ニーナはそっと土に触れてみる。当然何も起きない。
もう聖女ではないのだから。

(はぁ……どうしたらいいの? もう何も思いつかない)

ニーナは内心ため息をついた。
もう何日もこうして土と向き合っている。それなのに、なんの進歩もなかった。

塔の書物や自分の日記を読み、何か手がかりはないかと探す。
そして資料を参考に、思いつく限りの方法を試しているのに。


様々な方法を試したが、ほとんど効果は現れなかった。

「フェル……本当に私たちで浄化方法を見つけ出せるのかしら」

思わずこぼれた本音に、ニーナはハッとして口を押さえる。
フェルディナンドは気を害した様子もなく微笑んだ。


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