国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「不安になった?」
「違うの。ごめんなさい……」
反射的に謝ると、フェルディナンドはメモを取る手を止めて、ニーナのそばへとやってきた。
俯くニーナを覗き込むフェルディナンドは、柔らかい表情をしていた。
「謝ることはないよ。本当に解決出来るかなんて、当然の疑問だ。でも心配はいらないよ。解決策は必ずある」
「なぜ断言出来るの?」
ニーナの声は消えてしまいそうなほど小さかった。
「この現象が現実のものだからだよ。聖女の力のような不思議な現象だとしても、この世に起きたことなら、この世に解決策があるものなんだ」
(そんなものかしら?)
納得したわけではないが、確信を持った言葉を発するフェルディナンドは、とても頼もしかった。
フェルディナンドなら本当に瘴気を消し去ってしまうかもしれない。そんな気がした。
「フェルの手にかかれば、聖女の力も再現出来るかもしれないわね」
ニーナが笑いながら言うと、フェルディナンドは大真面目に頷いた。
「僕はいずれそうするつもりだよ」
「え?」
「そうすれば聖女の力に頼る必要がなくなるだろう? 僕は、ルティシアの聖女という制度を終わりにしたいんだ」
フェルディナンドは決して冗談を言っているわけではなさそうだ。
「なぜルティシアのことをそんなに気にかけるの? 隣の、なんの利益もない国のことを」
フェルディナンドはセレンテーゼの大賢者だ。
ルティシアの聖女制度について、こんなにも深く考えているとは思わなかった。
ニーナが率直な疑問を口にすると、フェルディナンドは吹き出すように笑った。
「違うの。ごめんなさい……」
反射的に謝ると、フェルディナンドはメモを取る手を止めて、ニーナのそばへとやってきた。
俯くニーナを覗き込むフェルディナンドは、柔らかい表情をしていた。
「謝ることはないよ。本当に解決出来るかなんて、当然の疑問だ。でも心配はいらないよ。解決策は必ずある」
「なぜ断言出来るの?」
ニーナの声は消えてしまいそうなほど小さかった。
「この現象が現実のものだからだよ。聖女の力のような不思議な現象だとしても、この世に起きたことなら、この世に解決策があるものなんだ」
(そんなものかしら?)
納得したわけではないが、確信を持った言葉を発するフェルディナンドは、とても頼もしかった。
フェルディナンドなら本当に瘴気を消し去ってしまうかもしれない。そんな気がした。
「フェルの手にかかれば、聖女の力も再現出来るかもしれないわね」
ニーナが笑いながら言うと、フェルディナンドは大真面目に頷いた。
「僕はいずれそうするつもりだよ」
「え?」
「そうすれば聖女の力に頼る必要がなくなるだろう? 僕は、ルティシアの聖女という制度を終わりにしたいんだ」
フェルディナンドは決して冗談を言っているわけではなさそうだ。
「なぜルティシアのことをそんなに気にかけるの? 隣の、なんの利益もない国のことを」
フェルディナンドはセレンテーゼの大賢者だ。
ルティシアの聖女制度について、こんなにも深く考えているとは思わなかった。
ニーナが率直な疑問を口にすると、フェルディナンドは吹き出すように笑った。