国に尽くして200年、追放されたので隣国の大賢者様に弟子入りしました
「待って。ちゃんと良い報告もあるから」
「……良い報告?」

フェルディナンドはニーナの目の前に一つの壺を置いた。

「この土、どの辺りの土だと思う?」

そう言われてニーナは匂いに集中する。
匂いはかなり薄い。

「うーん、そうね……森の入り口付近かしら? かなり瘴気がわずかしかないわ」

ニーナの答えにフェルディナンドはニヤッと笑った。

「そう思うだろう? 実はこれ、森の中心部で採掘した土なんだ! 少し瘴気が減っていると思わない?」
「え! これが……? 一体どうやったの?」

フェルディナンドは「これだよ」と言いながら壺の中身を皿に移した。
土に何か小石のようなものが混ざっている。

そして彼はその隣に別の小皿を置く。
そこには白く半透明な小石が乗せられていた。

「この小石を少量、土に混ぜただけさ。それで一晩置いておいたんだ」

確かによく見ると、土に小さな石が混ざっている。

「でも色が違うわ。お皿の小石は白っぽいのに、土に混ざった方は少し黒っぽい……」
「そう。どうやらこの石が、瘴気が吸い取ったみたいだ」
「そんなことが? この小石は一体何なの?」

ニーナは目を丸くした。
小石を一つ摘んで目に近づける。

窓からの光を受けた小石は、白い柔らかな光放っていた。


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