もう一度あなたと
 普通の整形外科はもうしまっているはずだ。小児の怪我を見られる先生が近くの病院にいるだろうか。
「どうした?」
 この場の空気を壊したくはなかったが、私は慌てていたのだろう。すぐに私の変化に気づいたようで、神代さんが私に問いかける。
「あの、娘が怪我をしたみたいで。母から連絡があって」
「え? すぐにタクシー呼ぶか?」
 神代さんがスマホを出すのを見て、私はその好意に甘えてクロークに荷物を取りに行く。
「え? 副社長?」
 後ろでそんな声が聞こえて、私は日向に挨拶をしていないことを思い出す。そして振り返った目の前には日向がすぐそばにいて、私は驚いて目を見開いた。

「あの、すみません。急用でお先に」
 矢継ぎ早に伝えた私の肩が急に抱かれ、荷物が手から取り上げられる。
「あの? 副社長?」
 意味がわからない私に、そのまま力強くラウンジから連れ出される。そして、エレベータに乗せられた。
「あの。私病院へ行きたいんです!」
「どこの病院?」
 そう問いかけれ、私は「S病院です」と答えていた。
「近所のあそこか。怪我って言ったが、どうしたんだ?」
< 46 / 80 >

この作品をシェア

pagetop